マイコプラズマ肺炎治療にも有効なアジスロマイシンと、レボフロキサシンの様々な適応症を紹介します

ジスロマックやクラビットは色々な感染症に使用できる?

マクロライド系抗生物質であるジスロマック、ニューキノロン系抗生物質であるクラビットの非常に大きな特徴の一つが、広域の抗菌スペクトルを持つということです。

 

 

抗菌スペクトルとは、簡単にいうと何種類の細菌に対して効果を持っているのかということです。ジスロマックやクラビットは、非常に多くの細菌に対して有効です。

 

 

では、実際に添付文書でどれくらいの細菌に有効なのか、どのような適応症があるのかを確認してみましょう。

 

 

 

ジスロマック:http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00046011.pdf

 

<適応菌種>
アジスロマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属、クラミジア属、マイコプラズマ属

 

<適応症>
深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、尿道炎、子宮頸管炎、骨盤内炎症性疾患、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎

 

 

クラビット:http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00056893.pdf

 

<適応菌種>
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭疽菌、結核菌、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ属、チフス菌、パラチフス菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビ デンシア属、ペスト菌、コレラ菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、レジオネラ属、ブルセラ属、野兎病菌、カンピロバクター属、ペプトストレプトコッカス属、アクネ菌、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)

 

<適応症>
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、 慢性膿皮症、ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)、外傷・熱傷及び 手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、 扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、 肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎 (急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、尿道炎、子宮頸管炎、 胆嚢炎、胆管炎、感染性腸炎、腸チフス、パラチフス、コレラ、 バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、 瞼板腺炎、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性唾液腺炎、歯周 組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、炭疽、ブルセラ症、ペスト、野兎病、 肺結核及びその他の結核症、Q熱

 

 

ご覧いただくとお分かりかと思いますが、非常に多くの適応症を有しています。
その中でも比較的感染しやすいものについて、用量用法をご紹介させていただきます。

 

 

 

●咽頭・喉頭炎、扁桃炎(いわゆる風邪症状とお考えください)
ジスロマック:1日1回・1回500mgを、3日間連続で服用してください。

 

クラビット:1日1回・500mgを、1週間程度連続で服用してください。1週間を超えても症状が治まらない場合は、継続服用するよりは病院を受診するようにしてください。

 

 

 

●尿道炎、子宮頸管炎
ジスロマック:1日1回・1回1000mgを、1回だけ服用してください。

 

クラビット:1日1回・500mgを7日間連続で服用してください。
1週間程度経過しても症状に改善を認めない場合は、病院を受診してください。

 

 

 

●マイコプラズマ、マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎は、春先から夏に掛けてよく認められており、1ヶ月〜2ヶ月以上咳が続く場合、この疾患の可能性が高いです。

 

ジスロマック:1日1回・1回500mgを、3日間連続で服用してください。ただし、症状によっては、注射剤による治療が必要なことがあります、服用開始1週間後においても症状があるようなら、病院を受診するようにしてください。
クラビット:1日1回・500mgを7日間連続で服用してください。症状が治まらなければ病院を受診してください。

常備薬とすることのリスクは知っておきましょう

上記でご紹介しました適応症や用法用量は、比較的感染しやすい・発生しやすい症状と言われています。

 

 

服用方法は非常にシンプルで、クラビットであれば1回500mgを数日間、ジスロマックであれば1回500mgを3日間もしくは1回1,000mgを1度のみです。

 

 

したがって、常備薬としておいても良いのではないかと思います。

 

 

ただし、2点守っていただきたいことがございます。

 

 

1点目は、上記は成人に対する用量、お薬ということです。

 

 

小児では用量が異なりますし、腎障害や肝障害のある高齢者でも用量が異なります。これらに該当しない方だけが常備薬として使用してください。

 

 

2点目としては、耐性菌の問題です。

 

 

むやみに、また予防投与などで長期間使用することが、耐性菌発生の原因とされています。したがって、症状がある時だけ使用いただくこと、1週間使用しても症状が改善されない場合は、病院を受診することを守ってください。