泌尿器科やクリニックでのクラミジア治療、治療にかかる金額、保険証をつかったときのリスク、治療期間について解説します。

クラミジアの治療方法とは?

もし、あなたがクラミジアに感染したかもしれないと思った際には、とにかくまず泌尿器科や泌尿器専門のクリニックを受診してください。

 

 

泌尿器科を受診することを恥ずかしいと思わないでください。そして、医師に対してクラミジアに感染した可能性があることを必ず伝えてください。

 

 

例えば、排尿時に痛みがあると伝えた場合、膀胱炎と判断され、セファゾンというセフェム系の抗生物質が処方されることがあります。セファゾンはクラミジアには効果がありませんので、間違った治療薬が処方されたことになります。この場合、医師が処方を間違えたわけではなく、正しい情報をはっきりと伝えなかったことが原因です。

 

 

恥ずかしがらずに正しい情報を伝えることの重要性がお分かりいただけるかと思います。

 

 

クラミジアの治療方法ですが、このようにクラミジアを殺菌することを目的とした抗生物質による投薬治療が行われます。
症状が進行し、男性の副睾丸炎、女性の子宮頸管炎、子宮内膜症、腹膜炎など症状がひどくなると、鎮痛薬が処方されることはあります。しかし、これはクラミジアの根本治療ではありませんので、ここでは割愛させていただきます。

クラミジアで処方されるお薬とは?

クラミジアに処方されるお薬は3種類の抗生剤です。

 

 

マクロライド系(ジスロマック錠やクラリス錠など)、ニューキノロン系(クラビット錠やタリビット錠など)、テトラサイクリン系(ミノマイシン錠やビブラマイシン錠など)がその3種類に該当します。

 

 

しかし、実際に処方されるお薬はジスロマック錠とクラビット錠が全体の9割以上です。ここではその代表的なジスロマック錠とクラビット錠についてご紹介させていただきます。

 

 

 

●ジスロマック錠(マクロライド系)
クラミジアが増殖するためには、クラミジア自身がたんぱく質を作り出す必要があります。このたんぱく質を合成する器官をリボソームと言います。ジスロマック錠はクラミジア(細菌)が持っているリボソームのうち、50Sというリボソームに選択的に働いて、たんぱく質の合成を阻害します。結果増殖することができなくなり、最終的に死滅するという作用です。
次に服用方法ですが、クラミジア治療の場合、クラミジア錠を1日1回1000mg服用することになります。
ジスロマック錠には3種類の製品があります。1錠あたりの有効成分量(アジスロマイシン)が異なっており、250mg、500mg、1000mgがあります。処方された製品によりますが、1回1錠から4錠服用することになります。
ジスロマックの特徴として、1回服用することで1週間効果が持続するというものがあります。したがって、1回服用していただくことで、クラミジアの治療が完了します。
しかし、最終的なクラミジアの検査は、1ヶ月後に行われます。クラミジア陰性の確認ができて、初めて治療完了と判断されます。

 

 

 

●クラビット錠(ニューキノロン系)
クラミジアが増殖するために、たんぱく質の合成が必要ですが、たんぱく質を合成するためには、まずDNA(遺伝子情報)を複製しなければなりません。DNAを複製するためにはDNAジャイレースという転写酵素が必要になりますが、クラビットはこのDNAジャイレースの働きを阻害します。結果、DNAが複製できなくなり、増殖ができず、最終的に死滅するという作用を持っています。
次に服用方法ですが、1日1回500mgを7日間連続服用することになります。これが基本となりますが、症状が進行している場合、医師より別の服用方法を指示されることもあります。自己判断で調節してはいけません。必ず医師の指示通り服用するようにしてください。
クラビット錠には2種類の製品があります。1錠あたりの有効性分量(レボフロキサシン)が異なっており、250mg、500mgがあります。1回1錠から2錠の服用となります。

 

 

 

●副作用
抗生物質に共通する副作用として、腹痛、軟便、下痢があります。抗生物質は標的にしたい細菌だけを殺菌することは難しいため、良い働きをしている細菌(いわゆる善玉菌)も殺菌してしまいます。その結果、腸内細菌のバランスが崩れてしまい、このような症状を引き起こします。
抗生物質で認められる副作用の中で、重篤なものも知られています。それは、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis: TEN)皮膚粘膜眼症候群(StevensJohnson症候群)と呼ばれるものです。皮膚や粘膜に炎症が生じ、それがひどくなり壊死にいたるというものですが、この症状は非常に早いスピードで進んでしまいます。もし、発疹や発赤の症状が認められたら、すぐに医師に診察を受けるようにしてください。

クラミジアは保険証を使うべき?

ジスロマック錠250mgの薬価は、現在246.20円です。クラミジア治療に対しては4錠(1000mg)が必要ですので、984.8円が薬剤費となります。

 

 

初診の場合は初診量が2,700円(270点)、検査費用が6,000円〜10,000円、その他情報提供料や場合によってはその病院独自のサービス料などが加算されます。合計しますと、おおよそ10,000円〜20,000円が必要になります。

 

 

ですが、日本には健康保険制度がありますので、健康保険を使用すると実際の負担金額は3割(人によっては2割)で済みますので、3,000円〜6,600円程度になります。費用を安く抑えたいのであれば、健康保険を使用するべきです。

 

 

しかし、実は注意いただきたいことがあります。

 

 

健康保険を使用した場合、診療の内容が通知されます。(大企業などで自前の健康保険を持っている場合は除きます。)

 

 

中小企業が加盟している政府管掌の健康保険(社会保険)を使用した場合、社会保険事務所から会社宛に「医療費のお知らせ」が通知されます。これにはその社会保険に加入している家族の医療費の情報がすべて含まれています。例えば、夫の健康保険に妻が扶養者として加入していて、妻が夫に内緒で泌尿器科を受診した場合、夫にはその事実が伝えられることになります。

 

 

また、国民健康保険の場合であっても、「診療明細書」が直接自宅に届きます。その診療明細書には、「医療費のお知らせ」と同様に医療費の情報が含まれます。国民健康保険は、社会保険とは異なり、ご自身の名義で加入します(社会保険のように扶養というものはありません)。したがって、診療明細書はご自身宛に届きます。

 

 

突然自宅へ診療明細書が届いたら、夫婦や親子など近しい家族であれば、「あれ、病院に行ったことなんてきいてなかったな、いつ何科を受診したんだろう?」と疑問に思われるかもしれません。そのときにはなぜ病院を受診しているのか確認されるかもしれません。

 

 

健康保険証を使用すると、経済的なメリットを得ることができると同時に、治療における匿名性が失われるという、このようなリスクが発生します。