クラミジアの感染力、感染経路、年間の患者数、男女での症状の違いについて解説します。

クラミジアの感染経路と男女の症状

細菌やウィルスによる人間への感染経路には8種類あるといわれています。

 

 

介達感染とは、細菌やウィルスに汚染されたものを介して感染することで、代表的なものは食中毒やジフテリアなどがあります。

 

 

飛沫感染とは、感染した人がくしゃみや咳をしたときにでる飛沫(唾液など)に触れることによって感染することで、風邪やインフルエンザが代表的なものです。

 

 

空気感染(飛沫核感染)とは、感染した人がくしゃみや咳をしたときに出る飛沫(唾液など)を鼻や口から吸い込んで感染することです。飛沫感染との違いは、飛沫に含まれていた細菌やウィルスが、非常に小さいためそのまま空気中に漂っているといことです。結核や風疹が代表的なものです。

 

 

経口感染とは、感染したものを食べることによるものです。多いケースとしては赤ちゃんが感染しており、その両親が吐瀉物や便より手などに細菌やウィルスが感染し、食物や食器などを通じて感染するというものです。ノロウィルスやロタウィルスが代表的なものです。

 

 

昆虫媒介感染とは、ノミやダニ、蚊やハエなどの昆虫が媒介となり感染することで、マラリアやデング熱などが代表的なものです。

 

 

血液感染とは、歯科治療や注射などの血液が触れた医療機器を使いまわす事で感染することで、B型肝炎、C型肝炎が代表的なものです。

 

 

母子感染とは、母親が感染していることで胎児に感染するというもので、B型肝炎、HIV、クラミジアが代表的なものです。

 

 

接触感染とは、文字通り感染したものに触れることで感染するというもので、器具やドアノブも含まれますが、性交渉での感染もこれに含まれます。代表的なものは、クラミジアを含む性感染症、MRSAです。

 

 

この中で、クラミジアの感染ルートは、母子感染と性感染(接触感染)に限定されますが、その割合はほとんどが性感染によるものです。

 

 

母子感染も起こりえますが、日本では妊娠して産婦人科を受診すると必ずクラミジア検査が実施され、もし感染していた場合、抗生剤が投与され除菌が行われます。したがって、日本における母子感染での感染は非常に少ないです。

 

 

以上より、日本におけるクラミジアの感染経路は、ほぼ性感染(接触感染)と言うことができます。

クラミジアの感染力って強いの?

クラミジアという細菌そのものは、強い細菌ではありません。熱や乾燥に弱くすぐに死滅してしまいます。

 

 

感染ルートは、ほぼ性感染のみとご紹介しました。したがって、例えば感染者と一緒にお風呂に入っただけで感染することはありません。その他にもバスタオルを共用する、コップを共用する、尿や便に触れるなど、日常生活で起こりうるようなことで感染することはありません。

 

 

また、性感染といっても、抱き合う、触れ合うだけで感染することはなく、粘膜同士が触れることによって感染します。したがって、ディープキスをする、フェラチオをする、コンドームをつけずにセックスをする、精液を膣内に放出するという行為が行われると感染の確率が非常に高まります。感染率そのものは、それらの行為を行っている時間によっても差があるようですが、おおむね50%以上の確率で感染するようです。したがって、上記のような行為を2回行うと、ほぼ確実に感染することになります。

年間の患者数はどれくらい?

日本の厚生労働省では、4つの性感染症について統計をとっています。4つの性感染症とは、淋病、性器クラミジア、性器ヘルペス、尖圭コンジローマです。ここに平成11年〜平成28年までのデータがありますので、確認してみましょう。

 

 

http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html

 

 

クラミジアの感染者総数ですが、平成14年の43,776人がピークでそれ以降、総数は減ってきており、平成28年時点では24,396人となっています。男女比はピーク時の平成14年で1対1.4と女性の方が多かったようですが、平成28年ではほぼ1対1の割合となっています。

 

 

次に年齢別の感染者数を確認してみます。平成14年のピーク時及びその前後では、20~24歳で一番多く、順に25~29歳、15歳~19歳、30〜34歳が多く方向されています。35歳以上になると感染者数が減っていることがおわかりいただけるかと思います。平成28年時点でも同じような傾向が認められます。その原因として考えられることは、性交渉が盛んに行われる年代において、クラミジア感染が多いということです。

クラミジアの症状とは?

クラミジアに感染してすぐに症状がでるわけではありません。潜伏期間(増殖期間とも言えます)があり、人によって差がありますが、1〜3週間程度と言われています。
症状は男女で異なります。

 

 

男性の場合、初期の自覚症状としては、性器のかゆみや排尿時の痛みが主なものです。症状が進行すると、膿のような分泌物が出てきますが、痛みなどの症状を伴わないため、気付かないことも多いです。さらに進行すると副睾丸炎、前立腺炎、腎炎、肝炎などに進行することもあるようです。副睾丸では精子が作られますので、副睾丸炎になると不妊の原因にもなります。

 

 

女性の場合、初期の自覚症状としては、比較的さらさらのおりものがでてきます。その他には不正出血や下腹部痛、性交時痛があるようですが、原因がなくてもこのような症状が認められることがありますので、気付かないことも多いようです。さらに症状が進行すると、子宮頚管炎になり熱がでることもあります。さらには子宮内での感染が広がると子宮内膜症、骨盤内炎症や腹膜炎になります。卵管に炎症が広がると卵子が卵管を通り抜けられないため、不妊の原因にもなります。

 

 

また、男女共にクラミジアに感染しているとHIVへの感染確率が高まると言われています。クラミジアを含む性感染症に感染していると、性器などの粘膜に炎症が生じています。つまり、傷がある状態です。傷にHIVウィルスが付着すると、感染する確率が格段に上がってしまいます。

クラミジアは咽頭(喉)にも感染する?

クラミジアはオーラルセックス(フェラチオやクンニリングス)でも感染してしまいます。保菌者の男性に対して女性がフェラチオをすることで、その女性の咽頭(喉)にクラミジアが付着します。その逆も然りです。

 

 

喉のクラミジアは咽頭(いんとう)クラミジアとよばれ、症状は発熱、咽頭痛や腫れですので、風邪の症状とよく似ています。病院を受診したとしても、感染した可能性があることを医師に伝えない限り、風邪に対する治療薬が処方されることが多いようです。