クラミジア治療の徹底ガイド。性病の感染経路、症状、治療方法と治療薬を詳しく紹介します。

クラミジアとは?

クラミジアと聞いて多くのかたがまず連想する言葉は「性病」だと思います。

 

 

ご想像通り、クラミジアは日本で最も感染者数の多い性感染症(STD)です。このサイトは、クラミジアについて正しい知識を与え、感染者のかたがたが、より早くより適切な治療をより多くうけることができるよう、そのような役に立ちたいという動機で制作されました。

 

 

クラミジアの正式名称はクラミジア・トラコマチスといいます。クラミジアは細菌の1種ですが、一般的な細菌とは違った形式で増殖します。

 

 

一般的な細菌は、栄養を取り込み、2つに分裂し、それを繰り返すことによって増殖します。また、ウィルスの一種であれば、遺伝子に入り込み、遺伝子を利用して複製を繰り返すことで増殖し、有害な作用を及ぼしますが、クラミジア・トラコマチスはウィルスでもありませんので、このような方法では増殖しません。

 

 

では一体どのような形で増殖を繰り返し、私たちに有害な影響を与えるのでしょうか。

 

 

まず人体には、内部に侵入した細菌を殺すために食菌作用という働きが備わっており、食菌作用によって細菌は細胞内に取り込まれて殺菌されます。しかし、クラミジアは細胞内に取り込まれても殺菌されず、そこで増殖を行い、増殖したクラミジアを放出しつづけます。治療せずに放置しておくと、爆発的に増殖して、さまざまな症状を発生させます。

 

 

症状についてもより詳しく後述しますが、初期段階では無症状、またはごく軽度な症状しか現れないため、クラミジア感染をご自身で気付くことはほとんどありません。病院に行こう、治療が必要だ、と思ったときには、すでにかなりの数のクラミジアが増殖した後で、悪化がすすんでいることが多いです。

 

 

クラミジアとは、人間にとって非常にたちの悪い細菌なのです。

クラミジアの症状とは?

男性の感染では、初期の自覚症状はほぼありません。

 

 

ある程度増殖してくると、性器の掻痒感(かゆみ)、排尿時の痛みなどがありますが、普段まれに認められる症状とそれほど大差はありません。さらに症状が進むと、尿道から粘り気のある分泌液がでてきます。

 

 

しかし、分泌物があるだけで、これ以外の症状は特にないため、気付かないことも多いです。そのため治療せずに放置されることが多いのですが、副睾丸炎に発展することもあります。副睾丸炎になると強い痛みが生じたり、発熱を伴いこともありますし、稀に男性不妊症の原因にもなります。

 

 

しかし、女性の場合は男性とは全く違い、クラミジアに感染し、悪化することで非常に大きな問題に発展します。

 

 

女性の場合、クラミジアに感染すると男性とは異なり、ほぼ無症状のまま悪化します。何かの病気になったのでは?何かに感染したのでは?などと疑うことは、ほぼありません。きっかけがないのです。

 

 

このように、基本的に自覚症状から気付くことが少ないんで、何も対処はされません。するとクラミジアの増殖が進行し、まずは子宮全体にクラミジアが繁殖します。その結果子宮全体に炎症を発生させ子宮頚管炎や子宮内膜炎を引き起こします。さらに進行すると卵管の炎症を引き起こし、卵管が狭くなったことで卵子が通過できず、不妊症の原因にもなります。

 

 

最悪の場合、子宮の外側(骨盤周辺)にまで炎症が広がり、骨盤内炎症という症状まで引き起こしてしまいます。

クラミジアの感染力・感染ルートとは?

クラミジアは一般的に広く知られている感染症であるため、比較的感染力が強いとお考えの人も多いと思います。

 

 

しかし、例えば、一緒に生活をする、お風呂で感染する、風邪などのように近くにいると感染するということはありません。このように空気感染、飛沫感染はしませんので、このような状況での感染力はゼロといっても良いです。

 

 

ただし、性的な接触による感染(性的感染)に関しては、全く逆です。

 

 

クラミジアの保菌者と性交渉を行うと、50%以上の確率で感染するといわれています。つまり2回性交渉を行うと、ほぼ確実に感染すると考えて差し支えありません。

 

 

ただし、性交渉中の挿入時間も影響してきますし、何より分泌物(唾液、膣分泌物、精液)にどれだけ接触するかによって、感染率は大きく異なります。

 

 

例えば、フレンチキスだけ、体のふれあいだけ、非常に短い性交渉(膣内への挿入)のみで膣内へ精液を放出していないなどの場合、感染確率は低いようです。つまり、粘膜同士の触れ合い、膣分泌物や精液が粘膜に触れるかどうか、その時間の長さが、感染率に大きく関係するということです。

クラミジアの咽頭(のど)感染とは?

クラミジアは性交渉によって感染することをご紹介しました。性交渉の一1つとして、男性器を女性が口で愛撫する(いわゆるフェラチオ)行為がありますが、この行為によっても感染します。もちろん、その逆のクンニリングスによって男性が感染することもあります。

 

 

厳密にいうとその行為だけで感染する確率は低いですが、性器から分泌される分泌物や精液が口の中に放出されると感染のリクスが急激に高まります。長時間に及ぶオーラルセックスや、精液を飲み込むなどの行為によって感染の確率は飛躍的に高まります。

クラミジアの年間の発症例数とは?

日本の厚生労働省では、クラミジアを含む性感染症の報告件数をまとめており、統計として公表しています。そのデータを確認してみましょう。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html

 

 

上記のデータは、過去17年間のデータを蓄積したものです(2017年4月現在)。この調査は定点観測にて主席されたものです。定点観測とは、施設規模や地域性などを考慮した上で決められた施設からの報告件数をまとめたものです。

 

 

このデータでは、日本全国で約1000施設からの報告がまとめられています。
平成12年〜平成16年(2000年〜2004年)においては、年間おおよそ4万人の感染が報告されていますが、それ以降減少傾向となり、平成28年(2016年)では2万5千人弱となっています。

 

 

男女比については、その年度によって多少の前後はありますが、男性1に対して、女性1,1〜1.3というデータになっています。

 

 

このデータだけをみると、女性の方がより感染率が高いように解釈できるかもしれませんが、一概にその通りとはいえません。なぜなら、女性の場合、妊娠をして産科・婦人科を受診すると、必ずクラミジアの検査が実施されるからです。つまり、女性のほうが検査を受診する母数が多いと推測できます。定点観測された施設でクラミジア陽性と判定されると、それが1件として報告されます。したがって、ある程度実態に即したデータが報告されていると推測できます。

 

 

男性の場合でもクラミジアはそれほど重篤な症状がないことから、病院を受診する人はそれほど多くないというのが現状ではないでしょか。もし、受診したとしても男性の場合、副睾丸炎などの比較的重い症状がなければ、膀胱炎と診断されることも多いため、クラミジア感染とカウントされないようです。これらを総合して考えると、実際の男性のクラミジア感染者数は統計よりも多いことが、容易に想像できると思います。